肝臓の病気(肝炎・肝臓がんなど)
肝臓には代謝、解毒、胆汁の生成・分泌という3つの役割があります。
代謝とは、体に吸収されやすいように栄養素を分解・合成する働きです。肝臓は、胃や腸で分解・吸収された栄養素を利用しやすい物質にして貯蔵します。そして、貯蔵したものを必要に応じて分解し、エネルギーを作り出しています。
解毒とは、体に摂取した有害物質や代謝の際に発生した有害物質を毒性の低い物質に変えて、体外に排出させる働きです。
“胆汁”は、肝臓の中で生成されている物質で、脂肪を乳化し、タンパク質を分解しやすくする働きがあります。
肝臓の病気で多いのは、肝炎、肝硬変です。今までお薬がなかったB型肝炎・C型肝炎にも治療薬が登場しました。
肝臓自体は「沈黙の臓器」といわれ、症状が出ることがほとんどありません。しかし、体の中で重要な働きをしている臓器です。少しでもおかしいと思われたら、ご相談ください。
肝臓の病気について
主な肝臓の病気
肝炎
肝炎は肝臓に炎症が起こり、肝細胞が壊れる病気です。日本では肝炎のうち約8割がウイルス性であるといわれています。
肝炎には、急性肝炎と慢性肝炎があり、急性肝炎は半年以内、だいたい3カ月程度で落ち着きますが、それ以上の期間で持続する肝炎を慢性肝炎といいます。
<急性肝炎の症状>
・発熱
・倦怠感
・黄疸症状(白目が黄色くなっている)
<原因>
・肝炎ウイルスの感染
・飲酒
<肝炎の種類と治療>
・A型肝炎 / E型肝炎
食べ物や水を通して、口からウイルスが入ることで感染します。
急性肝炎の症状が出ます。
抗生剤などを用いた対症療法を行います。
・B型肝炎 / C型肝炎
血液や性交渉を介して、また、母子感染により感染します。
感染後は自覚症状が出ないことが多く、10~30年の歳月をかけて、徐々に肝臓の正常な細胞が壊れていきます。
今までお薬がありませんでしたが、ウイルスの増殖に必要な酵素の働きを阻害し、肝機能を改善させる作用のある飲み薬や注射薬が開発されました。早期発見・早期治療が重要です。
・アルコール性肝炎
お酒の飲み過ぎによる肝炎です。
人の一生で分解できるアルコールの量は決まっています。この量以上のアルコールを摂取することで、肝臓に負担がかかり、肝炎を起こします。
肝硬変
肝細胞が死滅・減少し、肝臓の機能が低下すると、肝硬変を起こします。
初期症状はほとんどなく、進行するとかなり苦しい状態になります。肝不全にならないように、その手前で肝機能を維持させることが重要です。
<症状>
食欲不振や疲れやすいなどの症状がみられることがありますが、初期症状はほとんどありません。
進行すると、黄疸、腹水、意識障害や吐血といった症状が出ることがあります。
<原因>
・慢性肝炎
・飲酒
・高脂血症
・脂肪肝
<治療>
残された肝機能を維持し、合併症や肝臓がんの発症を防ぐための治療をします。
肝硬変の原因や状態に合わせてお薬を選びます。
肝臓の検査
血液検査で肝機能の数値を確認し、必要に応じて超音波検査をします。
CTやMRIなどの精密検査が必要な場合は、専門の医療機関を紹介させていただきます。